コンブにラッコ。

今日も波間から 世界を眺める 

林久右衛門商店の「最中お吸物(たい)」を食する。

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開けたらヴィーナスが出てきそうな貝の形をした、最中のお吸い物を貰った。個包装のパッケージには「創業明治十八年 林久右衛門商店」と書かれている。ネットで見つけた公式ウェブサイトによると、福岡県に本社を構える「林久右衛門商店」は、削り節製造と食品加工を行う会社らしい。特に鰹節は、鹿児島県の枕崎で水揚げされたものを現地で加工し、約半年から一年かけて作った「本枯鰹節」。サイト内でもその丁寧な作り方が紹介されていた。

 

この本枯鰹節は、鰹の身を煮て何度も燻した後に、発酵と熟成を促す「カビ付け」を行って天日干しし、またカビ付けをして天日干しする過程を三回以上繰り返して作った鰹節なのだそうだ。血合いも全て取り除かれているため、えぐみのない味がするという。ラッコが普段使っている削り節は、おそらく燻す工程までを行った鰹節。本枯鰹節を、まだちゃんと味わったことはない気がする。

 

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今回の「最中お吸物」にも、枕崎産の鰹だしが使われている。化学調味料不使用の、天然素材で取ったお出汁。貝形の最中は、ヒヨクモチというモチ米を細かく挽いて、餅種を作り、オリジナルの型に入れて焼いたもの。袋を開けて出す時、パリッと焼かれた最中の軽さが手に伝わってくる。「たい」「ふぐ」「ほたて」「松茸」とある中から、なんとなく「たい」を選んで食べてみる。

 

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袋の裏面に書かれた「お召し上がり方」によれば、最中と中身をお椀の中に入れて、160mlの熱湯を注ぎ、よくかきまぜたら出来上がり。楽々かんたんな作り方である。うちにはお椀なるものは存在しないので、サラダもご飯もおかずもこれひとつの万能器で代用。上のイラスト通り、貝の上下はくっついているのかと思ったら外れていて、中には具とダシを固めた平たいタネが収められていた。
 

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器に出すとこんな感じ。不器用なので最中を割らないかドキドキした。せっかくの貝形、見栄えも大事である。最中は本当にそのまま食べても美味しそうなサクサク加減で、同居人のなまこさんなどは「この中に餡を詰めたい」と言っていた。全然関係ないが、久右衛門と同じ福岡県の大宰府に「鬼瓦最中(天山)」がある。こちらは餡の入ったお菓子で、白餡も黒餡も驚くほど美味しい。太宰府天満宮の参道で食べると、挟みたてでとりわけ美味しい。

 

そんな訳で、160mlの熱湯を注ぐ。お湯を注いだ途端、タネがフワッと溶けてほぐれた。粉末状のお出汁は瞬時に消えて、具がばらっと登場。こんなに入ってたのかとビックリする量だった。「たい」には、鯛の身と葱とシイタケなどが具として入っていて、お湯だけでかなり「戻った感」があった。最近のものはよくできているのだなぁと、うんうん頷く。

 

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箸でクルクルかき混ぜた後が上の写真。すごい、最中が全然切れない。乾いている時はパキッと割れそうだったのに、お湯に浸ると弾力があるようで、ちょっと混ぜたくらいでは破れない。さすがモチ米。そしてまだどことなく貝形をキープしているのが健気。湯気の立ちのぼるスープからは、すでに魚介の香りが漂っている。最中の粉などもある分、やや透明なお吸い物といった感じだろうか。

 

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伸びのある最中をどうにか箸で分け、全体をなじませて、、では、いただきます。ズズッ。おぉ~なるほど。これは結構しっかりした味付け。鰹節の他に、鯛やシイタケなどダシの出るものが色々入っているためか、鰹だしオンリーの味とはまた違った複雑さ。鯛だけに魚介の風味もきいている。規定の湯量だとラッコには少し濃く、袋にも「差し湯で調整」とあったので差し湯すると、口馴染みの良いお吸い物になった。

 

シイタケは噛んだそばから旨味が出て、いくつも入っている鯛の身がぜいたくで美味しかった。最中はお麩に近いものと思っていたら餅の方が近い。お湯の中でも香ばしい匂いを失わず、食感は本当にモチモチ。粘りがあって柔らかい「何これ~」と言いたくなる最中だった。具だくさんのお吸い物。どの具も本物らしく、食べ甲斐のある一品である。

 

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しっかり味のスープならこんな食べ方もできるかと、ご飯と合わせてお茶漬け風にしてみた。写真は「松茸」のお吸い物。目論み通り、これはかなり楽しい食べ方だった。「松茸」は「たい」とはまた違い、松茸と、三つ葉と柚子の香りが特徴的。「ほたて」もお茶漬けにしてみたが、こちらもさらりと上品に食べられた。この調子でスープパスタなんかもいけそうな気がする。お吸物で食べなさいよって話だけども。

 

本日の一品『 お吸物(林久右衛門商店 ) 』

フリーズドライ製法の「お吸い物」。最中に包まれていないタイプで、同じく化学調味料や香料は無添加。お湯を注ぐだけで食べることができる。マイナス25度で凍結乾燥させた結果、具材やダシの味が再現されるのだそうだ。スープにはもちろん鰹だしも入っている。

 

お吸物「たい」↓↓

 

お吸物「松茸」↓↓

 

明治十八年創業「林久右衛門商店」ウェブサイト