コンブにラッコ。

今日も波間から 世界を眺める 

「納豆の茶漬け」の作り方を、魯山人先生に倣う。

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納豆の茶漬けは意想外に美味いものである。しかも、ほとんど人の知らないところである。食通間といえども、これを知る人は意外に少ない。と言って、私の発明したものではないが、世上これを知らないのはふしぎである。

引用元:北大路魯山人「納豆の茶漬け」- 青空文庫

 

魯山人の納豆の茶漬け

美食家として知られる北大路魯山人が、納豆の食べ方として「茶漬け」が意外にも美味しいと書いたそうだ。納豆をお茶漬けに。その発想はラッコには無かった。納豆の食べ方と言えば、刻んだ葱や卵を入れて食べるくらいの事しかしていない。あの糸引く発酵大豆をお茶漬けにすると、一体どんな味になるのだろう。

 

ネットの海をプカプカしている時に、偶然この「納豆の茶漬け」の話に行き当たった。正直に言って、ラッコは北大路魯山人(敬称略)についてはほぼ何も知らない。たぶん発想が逆だと思うが「魯山人さんって『美味しんぼ』の海原雄山みたいな人だよね」という感じになっている。たしか美食家で、陶芸家で、、これもまた雄山寄りのイメージだ。

 

こんなに何も知らないのだから、もう知らないまま「納豆の茶漬け」を頂いてみよう。食べてみれば、今まで名前だけが強烈に響いていた「北大路魯山人」の世界に、最初の一歩を踏み出すことになるかもしれない。作り方はありがたくも「青空文庫」で読むことができる。早速、同居人のなまこさんと材料を準備して、納豆の茶漬け作りに挑むことにした。

 

 

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納豆の茶漬けの作り方

「私の発明したものではない」とはおっしゃっているけれど、ここからは料理を教えていただくので、魯山人先生と呼ばせていただきたい。さて、魯山人先生の作り方によると、材料は「納豆、醤油、辛子、熱飯、煎茶、葱のみじん切り(好み)」があればいいようだ。手順の詳細は青空文庫にあるので、ここでは簡単に箇条書きにしてみたいと思う。

 

  1. 納豆を器に出し、調味料を加えずに、箸でひたすら練る。
  2. かたく練り上げたら「醤油を数滴落として練る」を繰り返す。
  3. 納豆がどろどろになったら、辛子を入れて更に撹拌(好みで葱を)。
  4. 熱いご飯の上に納豆をのせる(納豆の量は、ご飯の1/4程度)。
  5. 煎茶をかけて、納豆の茶漬けの出来上がり。

上手に作るポイントは、最初から調味料を加えないことと、納豆の糸がなくなって「どろどろ」になるまで練ることらしい。 醤油はお茶漬けになることを考えて、やや多めに混ぜておく。後は美味しい納豆を用いること。練っても糸を引かないザクザクしたものは、充分に発酵していない豆だと書かれていた。

 

 

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納豆の茶漬けの感想

炊きたてのご飯の上に、かたく練り上げた納豆をのせる。濃く淹れた煎茶(好みで)を回しかけて「茶漬け」にしたら、まずは納豆だけを一口。ん!…ん?これは不思議な納豆。。箸が回らなくなるまで練ったせいか、柔らかい納豆だったせいか、豆の形は若干崩れて、味は「濃厚なナッツ」に近い感じ。どろどろにはならなかったので、これで合っているのか一抹の不安は残る。が、まろやかな風味で口に新しい。

 

次はいよいよ「納豆の茶漬け」として食べてみる。茶碗の縁からソイソイソイッと流し込む。お、これは。なんとも優しいお味。緑茶に浸った納豆は、特徴的な匂いが心持ち和らぎ、ご飯と合わさってよりまろやかになった。思ったよりも、涼やかで上品なお茶漬け。ラッコには少々味が優しすぎるくらいだった。

 

 

先生によれば「塩加減が足りなければ、飯の上に醤油を数滴たらすのもいい」そうなので、助言に従って醤油を加えてみた。ポトポト、ソイソイソイ。うん、やっぱりまだ薄い気がする。もう数滴足してみよう。ポトポト、ソイソイソイ。あれ?薄い?いや、これはもう薄いや濃いではない。おそらく濃い味に慣れているラッコの舌の問題だろう。少し物足りない感じはある。けれど、そこが良いのかもしれない。

 

「ひきわり納豆の茶漬け」を作ったなまこさんは、醤油ではなく付属のダシで味付けしていた。こちらの方が味ははっきりするように思うが、本文にあるように「好ましいやり方ではない」と怒られそうだ。その上、我々二人は納豆好きなので、ご飯に対して納豆が1/4だと、納豆だけを先に食べ終えてしまう。納豆はご飯と同量でもいいね、なんて言ってしまえる我々は、きっと美食向きではない。

 

 

ちなみに納豆はごく日常的なものを使い、白米も煎茶も、日頃と同じものを使って作った。納豆は自分たち好みのもので、白米は土鍋炊き、煎茶は丁寧に淹れた(なまこさんが)。そうして好みの材料で好みの作り方をすると、何を食べても贅沢に感じられる。魯山人版「納豆の茶漬け」は、きっと手をかけた上に、材料にもこだわって作られていたのだろう。「美食倶楽部」にはほど遠いラッコは、「常食倶楽部」にでも入っておこう。

 

漫画『美味しんぼ』の91巻には「魯山人のお茶漬け」が描かれているらしい。納豆の茶漬けも出てくるというので、答え合わせも兼ねて読んでみたい。全然違う!とか言って驚きそうだ。「納豆の茶漬け」の文章自体は、本で言うなら中公文庫の『魯山人味道』の中にある。ちょっと図書館に行きたくなってきた。北大路魯山人の世界へ、納豆の茶漬けから、ソイソイソイとなめらかに。

 

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葱と貝割れとソーセージのゆかりパスタ

おまけ。なぜ最後にパスタが?それは、お茶漬け用にご飯を炊くというので、ついでにふりかけの「ゆかり」を、なまこさんが買っておいたことに始まる。「ゆかり」はご飯に混ぜると「しそごはん」が出来る乾燥ふりかけ。パスタに入れれば「ゆかりパスタ」になる。名前の由来は「紫=ゆかり=縁」らしく、縁起物パスタと言っても過言ではない(過言)。

 

 

この三島の「ゆかり」に、ラッコは今とても凝っている。何を今更な知名度だと思うが、こちらは弁当と言えば「白飯にウィンナー」の人。そう、ふりかけは「かける」以外にも「混ぜる」があったのだ。白ご飯にゆかり、パスタにゆかり、イカにゆかり、卵かけご飯にゆかり、、さっぱり酸味があって、甘味や塩味もあって、こんなに美味しいふりかけだったなんて。納豆ついでの新発見、これもまた魯山人先生の計らいか。

 

卵かけご飯が好物のひとつであるラッコは、ゆかり入りの卵かけご飯を食べて「こ、これは、料亭の味ですよ!」とのたまった。料亭、行ったことない。それを聞いたなまこさん、正座のまま床に伏して「ラッコさま、本日の料理は『ゆかり入りの卵かけご飯』に御座います」と。いや、確かに料亭には行ったことがないけれど、そんな料理はどこに行っても出てこない。この二人、やっぱり「常食倶楽部」のメンバーだ。

 

 

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