コンブにラッコ。

今日も波間から 世界を眺める 

モンペリエの凱旋門を抜けると、ペイルー公園だった。

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南フランスの街、モンペリエには凱旋門がある。街の中心となるコメディ広場から続く道を、左にカーブしながら緩やかに上って行くと、終わりがけにこの角ばった門が堂々と建っている。留学時代、ラッコがよく行っていた場所で、モンペリエの人々の憩いの場でもあるペイルー公園は、この門を抜けた先に存在している。

 

とはいえ、この凱旋門の写真はペイルー公園側から撮ったものなので、もしコメディ広場からラッコが歩いて来たら、この凱旋門の脇からこちらに向けて、ひょっこり顔を出すことになる。もう十数年前の話なので忘れてしまっていたが、写真を見る限り、門の中央を通れるのは車だけのようだ。

 

パリの凱旋門に比べれば小さな凱旋門。記憶の彼方のフランス語を頼りに調べてみたところ、その建立は17世紀後半で、ルイ14世の王朝時代を称えて作られたものらしい(その統治は72年間!)。ペイルー公園の中には、馬に跨ったルイ14世の像も建っている。

L'arc de triomphe de Montpellier est un monument érigé en 1691 par Augustin-Charles d'Aviler, architecte de la province du Languedoc, sur des dessins effectués par François II d'Orbay.

出典元:Arc de triomphe (Montpellier) — Wikipédia

上のフランス語の冒頭「L'arc de triomphe」が「凱旋門」を指す。「triomphe=勝利」なので「勝利のアーチ」的な言葉なのだが、勝利で思い出したことがある。それは「勝者」の意味で言おうとしたフランス語「シャンピオン(champion)」を、なぜか言い間違って「シャンピニョン(champignon)」と発音したこと。

 

シャンピオンが「勝者」なら、シャンピニョンは「キノコ」である。音やスペルは似ていても全然違う。「マラソンの勝者は誰だったの?」が「マラソンのキノコは誰だったの?」になる。マリオカートじゃあるまいし、競技にキノコは出てこないに決まっている。これを聞いたフランス人の友人は、両腕を突き上げて「シャンピニョ~ン!」と叫んでいた。

 

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ペイルー公園に話を戻すと、この居心地の良い公園には本当にお世話になった。この場所はモンペリエ旧市街でも高台にあり、四方の景色をここから広々と見渡すことが出来る。写真に映っている建造物は、18世紀に建てられた給水塔​で、その左に、水を引く為の水道橋の一部が見えている。水道橋はかなり遠くまで続いていて、公園の裏から見る眺めも美しいものだった。

 

朝、昼、夕方、季節が変わっても、ペイルー公園にはいつも人が集まっていた。ベンチで過ごす老夫婦、ワイワイ盛り上がる学生のサークル、一度きりの旅人、ミュージシャンにお散歩族。一人で来ていても、気が向けばそこにいる誰かと話すような開放的な場所。ラッコはよく、公園の塀の上に座って外を眺めていた。風が吹いて、とても気分が良かった。

 

「セブナップ」な発音が簡単で、よく公園に持参した↓↓

 

元々ラッコには公園癖がある。公園癖なんて言葉はないにせよ、毎度、住む場所の近くに居心地の良い公園を見つけては足繁く通う、というものである。「居心地の良さ」が何を指すかと言えば、個人的には「開放感」「放っておかれ感」がそれに当たる。何も気にせずボーッとできる外の場所があると、ラッコはとてもリラックスする。

 

そんな訳で、あまりにペイルー公園に馴染んでいたせいか、同じく語学留学生だった日本人の友人のご両親がモンペリエを訪れた際、公園の塀でゴロゴロしていたラッコに「ナイストゥーミーチュー!」と右手を差し出した。「あ、どうもはじめまして」とラッコは小刻みにお辞儀をしながら、流暢な日本語で答えた。

 

モンペリエは学生の多い街なので、もちろんアジアの他の国からも留学生が来ている。カザフスタンの人なんかは日本人かと思ったし、南米ペルーの人も(本人も言っていたが)民族によっては日本人と似ていた。アメリカ人がネイティブ・アメリカンの話をした時は「あなたみたいな顔」と言っていたし、意外とそんなものなのかもしれない。

 

誰もかもが行き交うペイルー公園。あの高い塀に腰掛けて、また外の景色を見ることがあるだろうか。確か天気の良い日には海も見えたのではなかったか。いつか話しかけてきたアフリカの人が、全てはつながっていると言っていた。そうであるならば、ラッコもまだどこかで、ペイルー公園の景色とつながっているのだろうか。

 

 

ラッコのモンペリエ一人暮らし↓↓

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