コンブにラッコ。

今日も波間から 世界を眺める 

目に映る景色の中に、暖かい春を見つける。

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3月である。ラッコの住む辺りでは、昨夜は春の嵐が吹き荒れ、晴天の今日は春の暖かさで空気がいっぱいになっていた。いよいよ季節も変わる。その予感を確かにするように、庭先の野草たちがフサフサ芽吹いて花を咲かせている。

 

しばらく前までは、足元には枯草と土の色しかなかった。寒さが少し和らいだ頃、雑草と呼ばれる逞しい植物たちが、地面に沿うようにして短く生え始めた。そしてここ一週間ほどの間に、より背の高い草花が、目立つ形で群生し始めた。

 

冬の間、何も生えていなかった訳ではない。ただ急に緑が目に入るようになったのは、緑の色合いが明るくなったことと、背の高い植物が増えたこと、さらに、緑の先に白や黄色の花が咲いたことと無関係ではないだろう。

 

庭の端の方で、ひょろりと背を伸ばしていた菜の花。見つけた時にはもう、眩しい黄色の花を幾つも開かせていた。春の野菜だと言って食卓では見かけているのに、野の花として咲いているのを見かけると、また別の喜びが胸に湧いてくる。彼らが土に繋がって生きている分、より鮮烈に春を感じるせいかもしれない。

 

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七草としても登場するナズナの一群が、今まさに庭を優しく占拠している。小さな白い花がふわふわと風に揺れる様子はとても可愛らしい。ぺんぺん草とも呼ばれる所以は、花の下に突き出た実が、三味線のバチに似ている事にあるという。そう言われれば、そう見えなくもない。

 

ぺんぺん草の「バチ」の部分を千切れないよう下に引いて、耳の近くでクルクル回すと、ペンペンともカラカラともつかないバチの音が聴こえる。これって「でんでん太鼓」みたいだなと、子供の頃、耳元で鳴らしては思っていた。

 

学校の帰り道などは手持無沙汰になるのか、道端の草を手に取っては、笛にして吹いたり、指揮棒代わりに振ったり、意味なく齧ったりしていた。当時、野の花の中では小判草(コバンソウ)という植物が好きだった。小判形の穂が鈴なりに吊り下がっている姿が、とても愛らしい植物なのだ。

 

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ナズナに続く庭の群生住人、ホトケノザ。紫色のきれいな花が咲くのがまた「仏の座」っぽい。今うちの庭には、ホトケさまのお座りになる場所がたくさんある。植物にあまり詳しくないので、もしこれがホトケノザでなかった場合、ホトケさまには、ラッコのパイナップル柄の座布団をお出ししてもいいだろうか。

 

ホトケノザも春の七草のひとつだと思っていたら、七草のホトケノザは「コオニタビラコ」という別の植物であるらしい。七草のスズナが蕪(かぶ)だと知った時も驚いたが、これもまた驚きの事実だった。が、思い返せば七草粥に紫ベースの茎は入っていない。食べるばかりで、よく考えてみなかっただけの話である。

 

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結構な田舎に住んでいるのに、ここ2週間ほど車の無い生活をしている。古い車ゆえのメンテナンス中で、ラッコと同居人のなまこさんは、日々ウォーキングをさせていただいている。買い物にはリュックサックで出掛け、2Lボトルや調味料を背負って帰って来る。なまこさんが自分のブログに書いていたが、雨の日はちょっと大変だ。

 

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けれど見える景色が変わるのは、歩くことの楽しさのひとつ。いつも車で通るだけの世界を拾いながら歩く。自然の匂い、色合い、息遣い。地面の感触や建物の大きさ、滲み出ている人の生活。車では通れない道に入ることもできる。歩道橋を渡り、川辺でシロツメクサを見つけたりもする。

 

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ある晴れの日に、なまこさんと買い物に行った帰り道。カモやシラサギも太陽に誘われてか、穏やかな様子で川の中を行ったり来たり。その鳥たちを岸辺から眺めているネコもいたりなんかして、なんだかのどかで、リュックの重さも忘れて散策を楽しんだ。

 

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そろそろ車も戻って来る頃だが、たまにはこうして歩くのもいいなと思わせてくれた2週間だった。人間の歩幅は意外と小さいものだと、てくてく歩いて気がついた。折りたたみ自転車くらいは持っていてもいいかもしれない。風を切り、また少し範囲を広げて、違う景色を見つけるのも楽しいだろう。

 

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徒歩生活の最中、春の山菜、ふきのとうが届いた。母の家の庭に生えたもので、育てているのでもないのに毎年顔を出す律儀なふきのとうだ。ゲンコツ形に集まったツボミを見ると、もうそんな時季かと、寒さに一区切りが付く。

 

花開く前に頂くふきのとう。どんな花が咲くのだったかと調べたら、細かい花びらがいっぱいの白い花だった。雄花と雌花では花びらの形が違っていて、聞くところによると味も違うそうだ。雌雄の存在を知る前に胃に納めてしまい、もはや確認のしようがない。来年覚えていたら確認してみたい。

 

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ふきのとうは天ぷらにして頂いた。天ぷらと言っても、小麦粉ではなく、お好み焼き粉と片栗粉をブレンドした粉を使って作った。家に小麦粉がなかった上、油も切らしていた。結果、不思議なブレンド粉を叩いたふきのとうを、フライパンで揚げ焼きに。

 

天ぷらなのか唐揚げなのか、サクッとした食感に仕上がった、揚げ焼きふきのとう。思ったより見た目より随分美味しかった。菜の花同様、苦味がクセになる季節の味だ。これから伸びようとしている草花には、どれだけの生命力があることだろう。ご馳走さまとありがとうを言って、ラッコもこの春を元気に生きていこう。

 

 

菜の花についての記事

www.racco.blue

 

七草粥についての記事

www.racco.blue

 

本日の一曲『 母国情緒 』

母国情緒

母国情緒

  • 東京事変
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

椎名林檎さん(東京事変)の「母国情緒」を聴くと、歌詞の通り、鮮やかな空と街路樹が目の前に広がって、トコトコ歩いて行きたくなる。楽しい曲の中に大事なことが描かれた、ラッコにとって心励まされる一曲である。