コンブにラッコ。

今日も波間から 世界を眺める 

ラッコとタヌキが出会うとき

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いつか流行った動物占いで、ワタシはタヌキだった。ラッコという名のものがタヌキと言われるのもおかしいが、そういえばラッコとタヌキはどことなく似ていなくもない。どちらも愛嬌のある顔をしているし、毛がびっしり生えている。ラッコさんは動物占いではペガサスです、と言われるよりは説得力がある。

 

ちなみに同居人のなまこさんはこのペガサスらしい。こちらはラッコでぽんぽこタヌキなのに、なまこという生き物は、ずいぶん華々しく変身するものだ。ここはひとつ、タヌキらしさを生かして、ドロン!と龍にでも変身しようか。

 

タヌキは化ける。ワタシの頭の中ではそういうことになっている。もちろん実際に見たことがある筈もないが、どこかで目にしたイメージ、どこかで聞いた話が、脳内で再構成されて、実在する動物の生態の一部みたいになっている。こうやって日頃から何気なく信じている事がどれくらいあるだろう。

 

タヌキの生態ならまだしも、これが自分の人生に関わる思い込みだった場合、どこかの時点でド肝を抜かれるような気づきを得たりする。ラッコの脳内は、たくさんの「いつか聞いた話・見た話」で出来ていて、事実を客観的に捉えることがとても難しくなっている。小さい頃から無意識に、無差別に取り込んできた思い込みリストを、今はボックスごとひっくり返して確認し、不要なものを処分する分別作業に追われている。

 

人生うん十年ともなると、それはそれは膨大な量の片付けになるが、はて、これは本当にワタシの信じたい事なのかと、ひとつひとつ、自分の胸に訊いて手放していくしかない。残念ながら、ラッコの脳内掃除人はラッコその人だけなのだ。

 

想像が膨らむ、現実と空想が入り混じる。これを可能にし、促進しているのは、今の時代の日本なら、漫画とアニメーションだろうか。ラッコもまた、その広い世界を泳ぎ続けてきた一人である。漫画は面白い。アニメーションは楽しい。ついつい自分の目線の先に、今見たものと同じ世界が広がっているのではないかと思う。ラッコのようなひょこっとした生き物は、たまに足場を確かめないことには浮きすぎる事を自覚している。

 

タヌキが化けるというイメージも、おそらく幼少期の絵本や童話、テレビアニメで見たものに由来している。でなければ、頭に葉っぱを乗せたタヌキがドロン!なんてのんきな化け方はしまい。お腹をポン!と叩いたりもしまい。もはやタヌキは脳内でアニメ化している。実際のタヌキってどんな姿だっけ?となる辺り、物語と映像の力は本当にはかり知れない。

 

文章だけでも想像がつくのに、映像まで加わると、なんだかもう現実のような気がしてくる。手の平からエネルギービームが出たり、ホウキにまたがれば空を飛べそうな気がしてくる。いつか空想の方が現実を変えるかもしれない。

 

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実際、この時代の今の生活は、過去からすれば空想そのものだ。人々はデンシャという動くハコの中で、スマホという平たいハコを見つめ、その上でなにやら忙しく指を動かしている。時にはそのハコを耳に当て、宙に向かって一人笑ったり怒ったりしている。なんとフシギな異世界だろう。それでも、過去と未来は同じく現実なのだ。

 

ヒラメキはある種の空想で、そこから新たな現実が生まれるとすれば、空想が現実を創っていると言えないこともない。物語と現実の境界線は思うより薄い。どんな人にも、自分の信じるものがあり、信じたい世界があり、それはその人にとって紛れもない現実のように感じられる。すべての人は、同じ世界に存在しながら、少しずつ違う世界を生きている。これが現実だと言える確かな世界は、実はどこにもないのかもしれない。

 

タヌキがポン!とお腹を鳴らす。どこかにそんな世界があっても良いだろう。今、ラッコの目に見えないものは、存在しないのではなく、まだラッコの現実に現れていないだけとも考えられる。もう少し時を待てば、要らない思い込みを解き放てば、ドロン!と葉っぱを乗せたタヌキが、実は空気に化けていたのですよと、ラッコに手を差し伸べてくれるかもしれない。その時は、あ、どうも、ラッコですが、タヌキですと答えようと思う。

 

本日の一品 『 有頂天家族 』

小説「有頂天家族」

有頂天家族

有頂天家族

 

アニメ 「有頂天家族」

第一話 納涼床の女神

第一話 納涼床の女神

 

京都の街で繰り広げられる、タヌキと天狗と人間の物語。入り乱れるタヌキたちを始めとして、一筋縄ではいかない弁天や天狗の赤玉先生など、個性溢れるキャラクターが次々と登場する。下鴨家のタヌキ兄弟の結束、お父さんタヌキの堂々とした佇まいが胸に残る。

 

本日のもう一品 『 有頂天家族 二代目の帰朝 』

小説「有頂天家族 二代目の帰朝」

有頂天家族 二代目の帰朝

有頂天家族 二代目の帰朝

 

アニメ 「有頂天家族2」

二代目の帰朝

二代目の帰朝

 

赤玉先生と二代目、弁天の、タヌキも人間も巻き込んだ大喧嘩。天狗の高い鼻と鼻とのぶつかり合い。タヌキの矢三郎は、なんやかんやで地獄まで。原作を読んだ時点で、もう脳内アニメ化が進んでいた。矢三郎の言葉通り、退屈している暇がない。