コンブにラッコ。

今日も波間から 世界を眺める 

祭りの夜とカナブンと。

matsuri

 

蒸し暑い夏の夜、住んでいる町の夏祭りに行った。中心街を三日間、世に言う歩行者天国にして行われる、小さな町の大きな祭りだ。男たちが神輿を担いで練り歩く。おそらくこれがメインイベントであり、他にもステージでの歌や踊り、ゲームにお化け屋敷など、地域の人々の力を結集して開催される、力の入ったお祭りらしい。らしいというのも、ラッコはこの町に偶然漂着した流れ者、地域の歴史や催しにはトンと疎いのだ。

 

元々、祭りといえば飲み食いするトコロといった具合に、屋台にばかり重きを置いていたラッコなのだが、数年前から少々心に余裕ができて、祭りの催しの方まで目が行くようになった。ラッコズアイでよく見ると、祭りは、訪れる人よりも、参加している人たちにとって重要なイベントなのだ。

 

その土地の歴史を理解し、意義を分かち合い、パイプを作り上げ、情熱を持って形にする、盛り上げる、盛り上がる。お祭り気分で訪れたワタシと、お祭りそのものの人々のエネルギーは、小波と大波ほどにパワーが違う。更に、メインの御輿を担ぐ人ともなると、出力マックスの荒波が、小波を押しのけてやって来る勢いである。

 

昼間の明快さから分断された、夜という日常ならざる時間帯、祭の文字に後押しされて、御輿担ぎの男衆は、高く高く飛沫(しぶき)を上げる。荒波になって我を忘れる。その勢いに、ラッコは少しおののきながら、祭りを外から眺めている。

 

鳴り物のラッパと太鼓の音が響く。男たちの熱い声が響く。観客はスマホを持ち上げ、鮮やかな映像で祭りを箱の中に収める。子供たちの手にはチカチカ光るナゾの飲みもの、屋台の匂い、歓声、ざわめき、拍手、汗。もうここは、祭り以外の何ものでもない。人の頭に囲まれながら、ラッコはふと首元に手を運ぶ。チクリと何かに刺されたような、、

 

kanabun

 

足がある、何かがつかまっている。そう感覚で悟った瞬間、肉体は即座に反応し、そこにあるモノを跳ね除けた。もはや投げ捨てたと言っても過言ではない。

 

あぁ、それはカナブンだった。もぎり取られ、地面に落とされたカナブン。おそらく生きていた。ちゃんと足から着地していた。良かった。が、良くない。ラッコはもう祭りの現場にはいなかった。アスファルトに降り立ったカナブンと一対一、見合ったまま動けなかった。なぜこんなところに。なぜあえてワタシの首に。祭りのお囃子は遠くはなれて、カナブンだけが印象に残った。

 

本日の一品 『 KINCHO お肌の虫除けスプレー ローズヒップの香り 』

同居人のなまこさんが、夏の外出時に愛用している。もちろんカナブン対策ではない。